いざ引っ越しとなると、荷物の梱包や運送の手配の他に、各種届けや連絡など、片付けておかなければならない事がたくさんあります。なかでも忘れてはいけないのが、「転出届」と「転入届」
これをしないでいると、引っ越しはしても、住所台帳では元の住所の住人になったままですから、いろいろ不便をきたします。
転居と住所変更の通知を友人、知人に知らせたつもりでも、手紙が旧住所宛に送られないとも限りません。
そんなことにならないよう早めに郵便局へ転出と転入の届けをしておくことが必要です。
届けを出しておけば、引っ越し後1年間は無料で、旧住所宛の郵便物を新住所に転送してもらえます。
方法は、郵便局に備え付けの転移届け用紙に必要事項を書き込んで提出するか、はがきに旧住所、新住所、家族名、転居年月日を書いて、最寄りのポストへ投函するだけでいいのです。書留にした郵便物や小包も無料です。
江戸も終わりのころのことですが、庶民の間では引っ越しをすると、隣近所にそばを配って歩く風習がありました。
名前も顔も知らない人間が、いきなりやってきて「どうかお近づきのしるしにこれを食べてください」というのは、なんとも乱暴なやり方のようですが、もらったほうも、「これはどうも」とすんなり受け取って、もしかしたら毒が入っているかもしれない食べ物を、平気で食べたのです。
こうした風習は、もともと日本人が持っている共食信仰から発展したもので、他人にふるまってもらった食物を共に食べたということで、共同体への仲間入りを認めたのです。
現代社会では、とても考えられないような、強い相互信頼の人間関係が、昔はあったということでしょうか。
昔の人は、現代人よりも隣近所との人間関係を大切に考えていたことは確かなようです。
それではなぜ、人間関係をうまくしようとするために、そばが選ばれたのかというと、「そばはお金を集めるので縁起がいいものだから」といわれています。そばとお金、一見すると何の関係もないようです。
ところが、昔は金(きん)を扱う職人にとって、そばは隠れた大切な小道具でした。
というのは、昔は、そばは「そばがき」といって、そば粉に熱湯を加えて、練ってから食べていました。
いまのようにツルツルした麺(めん)状のものではなく、そばがきは餅のように粘りけがあったのです。
この粘着性を利用して、飛び散った金箔を集めたのです。
そして金の粉が付いたそばを丸めて焼き、残った金を集めました。
こうしたことから、「そばはお金を集める縁起物」とされ、また、そばの姿形や語呂合わせにひっかけて「細く長く、いつまでもあなたのおそばにおいておつき合いください」とか、「円(縁)をつなぐ」などの意味がつけ加えられていったものとされています。